連載・韓国ひとり歩き 1991.04→1995.03(NHKテレビ アンニョンハシムニカ ハングル講座より抜粋)



石切の村

南原(全羅北道)

藤本巧

南原に市が立つ日、石皿店前の路上に亀が甲羅干しをしているように見える大きな石臼が、数個ほったらかしにされていた。


牛の飼葉桶




LinkIcon石切の村・南原への地図

石切の村人

どうやら飼葉桶のようなものらしい。それは悠々たるおおらかな形をしていた。
どんなところで、どんな人々によって作られたものだろう。

石切の村

その石臼は、市場から数キロ離れた、自然がすっぽり包まれた小さな集落で作られていた。丸石を横積みにした塀、こんもりとした藁葺き屋根の牛小屋……。








牛小屋

石職人は畑仕事のない冬の間に山に登り石を切る。簡素な道具を使いこなし、出来上がった臼を一つずつ背中にしょって山を降りる。
痩せたこの石職人の、どこからそんなエネルギーが沸き出てくるのかと不思議だった。
風土と素材と製作が一体となったとき、その作品は人の心をうつ。

石切職人

痩せたこの石職人の、どこからそんなエネルギーが沸き出てくるのかと不思議だった。
風土と素材と製作が一体となったとき、その作品は人の心をうつ。